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三瓶温泉 とは
三瓶そば とは
三瓶そば とは
米は、日本の料理と最もよく結びつけられるでんぷん質の食べ物だが、麺類もまた、重要な位置づけを獲得している。特に、ソバでできた栄養価の高い麺類(そば)は重要だ。日本のほぼすべての地域は、出し汁、漬け汁、トッピング、地元の嗜好を反映した食べ方などの点で違いのある、独自の様式を持っている。
しかし、三瓶の地元のそばの場合には、最も注目すべき点は、食べ方よりも、その植物である。この土地で生育されるソバの種類は、在来種であり、他の地域で栽培される多くの種と比べると、野生の種族に近いものである。このソバは、農林水産省の地理的表示システムにおいて、ユニークな地域ブランドとして登録されている。このことは、この種と、蒜山の気候・文化との密接な関係を裏付けている。
多くの在来植物と同様、三瓶ソバの実は比較的小さいが、雑種の仲間と比べると、強い香りを放つ。結果として生産量は低下するが、そば粉には、ソバの特徴である土のような香りと味が、より多く保持される。三瓶山の麓におけるミネラル分の豊富な火山性の土壌に、秋の生育シーズンにおける日夜の寒暖が加わり、非常に甘いそばが作られると考えられる。
歴史的には、ソバは休耕中の稲田や開墾・伐採された土地で耕作されていた。米やキビと同様、主食となるソバは、食糧難が多発した戦後期において、特に重要なものとされた。今日、地元でソバを生産する農場は、ごくわずかとなっている。しかし、三瓶の住民は、依然、地元のソバの挽き割りを購入し、自家製粉している。世代を超えて受け継がれた家族の粗挽き/細挽きの好みや、麺類のレシピにおける独自のそば/小麦粉比率は今なお健在だ。
三瓶ソバのもう1つの特徴は、標準的な種と比べ、粘着性が高いことである。ほとんどのそばレシピでは、ゆでた時に麺のつながりが良くなるよう、結合剤となる小麦粉を必要とする。一方、三瓶ソバ100パーセントで作られた麺の場合には、それ自体でつながるため、ソバの素材本来の香りが残る。また、このような特徴から、麺の一本一本を厚く切ることも多く、食事の際には、噛むのにより多くの時間を要する。そのため、三瓶そばはじっくり時間をかけて味わうものであると、地元の人々はよく言っている。
季節に関わらず、大田を訪れた際には、どこかで三瓶そばを食べてみることが欠かせない。ただ、9月下旬に訪れたなら、三瓶ソバの畑に花が咲き誇る、心に焼き付く光景を見ることができるかもしれない。繊細な白い花の畑が、三瓶山の西麓に密集している。そして、このはかない季節の装いに映える山を写真に収めようと、魅了されたカメラマンらも足を運んでいる。