愛宕山からは波の美しい温泉津湾や赤瓦の町並みが風情豊かに望まれます。
大久保石見守は海が眺められる愛宕山と温泉街の中の恵珖寺に逆修塚を建てています。逆修塚とは、生きている間に墓標を立てることで、生前に塔を建てて逆修すると、死後にその功徳の全部を得ることができるといい地蔵菩薩本願経などに逆修の菩提のことが書かれています。
逆修塚は、大森銀山や佐渡の相川にもありますが、いずれも国の文化財に指定されています。これは石見守の逆修塚の持つ意味が深いことを示しており、温泉津に2つも逆修塚があることは文化史的にもとても貴重な資料といえます。
また、謎の梵鐘があることでも知られており、梵鐘には明応6年(1497)卯月(2月)の銘があります。もともと、隠岐郡海士町勝田山源福寺の鐘でしたが、豊臣秀吉の朝鮮出兵に際して供出され、返還の時に間違って温泉津に運ばれたと伝えられています。戦国時代から、温泉津の湊に全国各地の船が入っていたことを物語っており、大晦日にはその美しい音色を響かせてくれます。